文学部独自のキャリア支援「就活基礎ゼミ」の前期講座が終了しました(7/29)
実践女子大学文学部では2年生を対象に、自身のキャリアを仲間と考え、前向きに行動できるように支援していく「文学部就活基礎ゼミ」を今年4月より開講。7月29日(金)には、英文学科の2年生が最終回となる14回目の講座を受講しました。参加した学生たちは「夏休み準備シート」にこの夏の予定を書き込んで仲間と共有した上で、ここまでの「文学部就活基礎ゼミ」での取り組みを振り返りました。
講師の矢島氏
この夏をどう過ごすか、計画を共有して目標を宣言

将来の就職活動を見据え、まずはアクション総量を増加させることを目的として今年4月にスタートした「文学部就活基礎ゼミ」。全14回のプログラムもいよいよ最終日を迎え、この日は英文学科の2年生が講義に参加しました。
講師を務める矢島慶祐氏(株式会社カタパルト 代表取締役)は、「夏休みの行動目標を具体的にし、周りの仲間と共有すること」「この基礎ゼミを振り返りながら、有意義に夏休みを過ごす準備をすること」をこの日の目標に設定。まずは「夏休み準備シート」に自分の予定を書き込ませ、学生たちはそれを見せ合うことでそれぞれの夏の目標を宣言しました。仲間の計画に刺激を受けたのか、新たな予定を自身のシートに書き加える学生もいました。
「文学部就活基礎ゼミ」全14回を振り返って

後半は、「文学部就活基礎ゼミ」のこれまでを振り返りました。
第1回、第2回のポイントは自己紹介。「これまでの出来事を単に説明するのではなく、自分がどんな人間なのか伝えることが自己紹介の肝」と矢島氏から教わった学生たちは、結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論の順番で話を展開する文章構成法(PREP法)や、時間を有意義に使うためのコツについても学びました。
第3回は、就職活動を終えた、あるいは現在就職活動中の4年生がゲストとして登場。これまでの学生生活や自身の就職活動について語る先輩の言葉に、学生たちは熱心に耳を傾けました。
第4回では、自分を知るための取り組みとして「なりたい自分カード」を作成。「自分は何が得意か」「自分は何をしたいのか」「どのようなことに価値を見いだせるか」という3つの問いを通して、「能力?才能」「動機?欲求」「意味?価値」の視点からそれぞれが自己イメージを膨らませました。
第5回ではコロナ禍における「企業が求める人物像」について考え、第6回ではクイズを取り入れながら、世の中にはどのような仕事があるのか確認。BtoBとBtoC、業種?業界?職種、総合職?専門職?一般職、それぞれの違いについても理解を深めました。

第7回では、本学のOGで、物流会社への就職を経て現在本学に職員として勤務する若杉さんに学生時代や社会人になってからの経験を語ってもらいました。質疑応答コーナーで積極的に若杉さんに質問する姿からは、先輩社会人の生の声に対する学生たちの関心の高さがうかがわれました。
第8回から第10回にかけては、先輩社会人への取材準備、実施、発表を行い、優勝チームには賞品が授与されました。たとえば英文学科の優勝チームは、年代も業種も職種もバラバラの社会人にインタビューを実施し、それぞれの共通項と違いを簡潔にまとめることに成功した点で高評価を受けました。
その後の第11回では、これまでの講座や取材を通してこれから自分がどのような能力を身につけていくべきか考察し、第12回ではガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を実際に書いてみることにチャレンジ。矢島氏からガクチカのポイントは「再現性」と「一貫性」にあるとアドバイスを受けた学生たちは、持ち前の文章力を生かして自身のエピソードをまとめ上げ、第13回では自身で書いたガクチカをヒントに夏休みをどう過ごすか考えました。
そして迎えた最終回となる第14回。矢島氏は「皆さんの学生生活をより充実させ、自分らしい就職活動で、やりたい仕事、行きたい会社にたどり着くためのステップがこの基礎ゼミ。全講義を終えた今、少しでも就職活動への不安が解消され、日々の学びや夏休みへの期待にワクワクしている状態になってくれていたらうれしい」と話し、「夏休みは目いっぱいやりたいことをやってください!」と学生たちを奮起。メモや写真などの記録を残すことを忘れずに、秋学期、さらには3年生へと取り組みをつなげてほしいと結びました。
この日をもって「文学部就活基礎ゼミ」の前期講座は全学科とも終了。後期も月1回のペースで講座が開かれる予定です。
プレゼンで優勝した学生のコメント
私たちのチームは、なるべく年代も職種もバラバラの方からお話を聞きたいと考え、チームメイトの北田さんのお父様と、私がTwitterを通じて知り合った方たちに取材しました。発表を3分以内にまとめるのは難しかったですが、とにかく「完結に分かりやすく、見る人が楽しめるプレゼン」を目標に、色やイラスト、図形などの見た目の要素にもこだわり、堅苦しくないプレゼン資料作りを心掛けました。結果的に優勝することができてうれしかったです。
また、普段は接点がない4年生の先輩のお話を聞くことができたことも、この「文学部就活基礎ゼミ」の大きな収穫でした。さまざまなことにチャレンジし、多くの結果を残している先輩方の姿に憧れを抱いたと同時に、就職活動に対する漠然とした不安が和らぎ、「就活って怖いものじゃないんだ!」と思えるようになりました。「文学部就活基礎ゼミ」を終えた今、趣味のギターの練習から英語の資格取得まで、自分もさまざまなことにチャレンジしたいと前向きな気持ちになっています。この夏は、短期留学に行ってきます!(英文学科2年 相馬 凜さん)
私は自分の父に取材しました。あらたまって父と仕事の話をするのは初めてで、質問事項の準備の難しさを学びました。本来聞きたかったことが聞き出せず、チームメイトの相馬さんと取材結果をすり合わせてまとめるのに苦労した部分もありましたが、企業がどのような人材を求めているのか、採用する側の視点を意識するきっかけになり、良い経験ができました。発表に際しては他チームとの差別化を意識し、くすっと笑える要素など聞き手の印象に残る仕掛けを盛り込みました。それが、優勝につながったのではないかと考えています。
「文学部就活基礎ゼミ」は、世の中には多様な仕事があることを知り、実際に就職活動を経験した先輩の生の声を聞く良い機会にもなりました。おかげで、今後の学生生活で何に取り組んでいけばよいのか、自分なりの指針が見えてきたように思います。ささいなことでも真剣に取り組んだ経験の積み重ねがガクチカにつながると分かったので、メモや写真などの記録を怠らず1日1日を充実させていきたいです。(英文学科2年 北田 華菜子さん)
優勝した学生
稲垣 伸一文学部長のコメント

一人ひとりの個性や進捗に合わせたきめ細かい就職?キャリア支援を目指し、本学が推進する「キャリア形成支援改革」は第二期に突入しました。その一貫として、文学部の就職率を底上げする取り組みとして生まれたのが「文学部就活基礎ゼミ」です。その前身は、2020年度、2021年度に開講した「JISSEN ME」というプログラム。その主たる目的は「文学部就活基礎ゼミ」と同じく、低学年次からキャリアを考える機会を増やし、アクション総量を増加させる必要性を認識させることで、応募条件を満たして参加した学生たちはその後の就職活動を見事成功させています。そこで、今回の「文学部就活基礎ゼミ」では対象を文学部2年生全員へと広げ、教職協働で受講を促進。その結果、対象学生の9割にあたる約300名の参加が実現しました。真面目で学修意欲が高い一方、前に出る力が弱いとされる文学部の学生に対し、今回の「文学部就活基礎ゼミ」で新たな成長機会を提供できたことには大きな意義があると感じています。
一方で、「文学部就活基礎ゼミ」には、学生同士の縦と横のつながりを強めるという狙いもありました。文学部ではゼミの対象が4年生のみということもあり、学生同士の縦のつながりが弱い傾向にあります。また、現2年生は、昨今のコロナ禍で対面授業だけでなくさまざまな活動の制約を強いられ、学生同士の交流の機会も少なく横のつながりも希薄となっています。そこで、「文学部就活基礎ゼミ」を通して学生同士の縦と横のつながりを強化し、仲間を増やすことができたらと考えたのです。今回、「文学部就活基礎ゼミ」を受講した学生からは「4年生の先輩から話を聞く機会が持ててよかった」「仲間がいると思うと就職活動も心強い」といった声が上がっており、学生同士のつながり強化という副次的な効果も確かに得られたと実感しています。

本学では、学生一人ひとりの成長記録を蓄積し、教職員が共有できる環境として2019年から「J-TAS(Jissen Total Advanced Support)」を始動させているほか、個別支援体制に対応した部署の再編、低学年からの支援強化など独自のキャリア形成支援を推し進めてきました。その結果、「就職偏差値が上がった大学2021(主要企業就職者30人以上、100人未満)」で1位を獲得、2021年度の実就職率は94.0%と本学過去最高の数字となり、「実就職率ランキング2022」(卒業生数1,000人以上)では全国女子大学の2位となりました。この結果に満足することなく、さらなる高みを目指していくためにも「文学部就活基礎ゼミ」を今後も継続していく予定です。次年度は先輩学生の参加度を増やし、ゆくゆくは学生主導のプログラムへと発展させていければと考えています。
一般的に文学部は就職に弱いなどと言われがちですが、それは本学の文学部には当てはまらないと思っています。本学では1年次から「実践入門セミナー」と呼ばれる初年次教育プログラムで学びのスキルや目標をもって自主的に学ぶ姿勢を磨いており、特に文学部の学生は自分の感性や思いといった形にしづらいものを表現する高い能力を身につけています。それは就職活動においても大きな強みになるはずです。その強みを最大限生かせるよう、教員も職員と協働しながら「文学部就活基礎ゼミ」をはじめとするさまざまな支援を展開していく所存です。ですから、学生の皆さんは恐れることなく、将来のキャリアに向けた一歩を踏み出してください。私たちが応援します。