Space Design Labo, JISSENUniv.
2024年度卒業研究 空間デザイン研究室 窪寺真理
昔も今も変わらぬ賑わいをみせるブレーメン通り商店街も、時代とともに個人商店が減少し、チェーン店が増加するなど、店舗構成も変わり、利用者の商店街に対する価値や役割は変わってきていると考えられる。過去と現在の利用者による使われ方から、商店街の意味がどう変化し、何が継承されているのか明らかにする。
本研究の対象地であるブレーメン通り商店街の概要を表1に示す。調査はブレーメン通り商店街から10分圏内に住み、商店街を利用する地域住民17名を対象とし、35年前と現在の地図を提示して、過去と現在の使われ方や記憶に残るエピソードをヒアリングした。
専業主婦が多く、子供と散歩を兼ねて利用していた。数多くあった個人商店では、店主と顔見知りとなり、料理や洗濯の相談をしたり個別の対応をされたりすることも多く、利用者には安心感が生まれ、様々な思い出や記憶にも刻まれていた。町内会やPTA活動などを通して商店街のイベントに参加することもあり、地域コミュニティを形成する舞台でもあった。商店街は利用者と地域が双方向に関わる日常生活の場であり、コミュニケーションの場であり、地域参加の場でもあった。
共働き世帯の増加や子供の独立、またネット通販や大型店舗の増加など、買い物行動自体が利便性や経済性を重視したものに変わっている。商店街の個人商店が減ったことで、かつてのようなコミュニケーションも減少し、地域活動の参加の機会も減少した。商店街の役割は生活の場から効率重視の消費の場へと変わってきた。しかし、数は減ったが現在まで残る個人商店では個人的なやり取りは続いている。知り合いが新たに店で働いていたり、古い知り合いと偶然出会うなど、商店街は今もコミュニケーションの機会にもなっていることが分かった。
過去と現在における商店街と利用者との関わりの変化を模式的に図1に示す。商店街は誰でも歩き回りながら利用できる自由度の高い場所である。その価値は時代とともに様々な変化を受けつつも、かつての記憶や現在も残るコミュニケーションを通して、利用者の生活とまちを結びつける役割は継承されているのではないか。
(表1)ブレーメン商店街概要
(図1)商店街と利用者の関わりの変化
2003-2025, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status:2025-02-16更新