卒業研究要旨(2025年度)

教会が持つ独自の居場所性とは

2025年度卒業研究 空間デザイン研究室 福重実結

1.研究背景?目的

 教会が人々にとってどのような居場所として機能しているのかを明らかにするとともに、居場所を必要としている人々にとっての選択肢を広げる一助となることを目的とする。

2.プロテスタント教会の概要

 キリスト教の一つで、聖書を大切にし、教会の伝統や儀式よりも個人の信仰を重視する。礼拝を中心に賛美歌を歌い、牧師による聖書のお話を聞き、祈りの時間を持つ。また、集まりの前後には交流がある。建物は、自分たちの建物がある教会と、毎週建物を借りて礼拝を行っている教会がある。

3.調査概要

?方法:インタビュー調査
?調査実施日:2025年9月~11月の3ヶ月間
?対象:それぞれ異なる教会に通う、10~20代を中心とした知人26名
?手法:対面または電話による、30~90分のインタビュー
?質問内容:基本情報、教会のプログラム?教会の様子、自分の教会への関わり方、自分にとっての教会の意味

4.まとめ

4-1.教会の活動やイベント

 普段の礼拝以外にも、子ども食堂や、バザー、コンサートなど、教会の活動は教会内に留まらず、世代を問わず誰にでも開かれており、安心して気軽に足を運べる環境が整っていることが分かった。

4-2.教会の友人のつながりが日常に与える影響

 日曜日のみ関わる人がいる一方で、多くの人は教会外や平日にも日常的な交流を持っている。

 LINEで連絡をし合ったり、ショッピングをするなど気軽なやり取りから、友人の家にお泊まりや教会のおばあちゃんと二人で卒業旅行に行くなどの深い関係までつながりは多様であり、同世代に限らず世代を超えた関係性も見受けられた。

4-3.自分にとっての教会の意味?価値

 教会の価値には大きく四つの要素が関係しているが分かった。

(1)まず教会は、活動や関わりを通して楽しさや生活のリズムを得られる、「自分が価値を享受できる場所」である。そこにいるだけで安心し、リラックスできる環境は、一週間の中で溜まったストレスや感情をリセットし、心の健康を保つ役割を果たしている。

(2)次に教会は、「他者によって価値を与えられる場所」である。多様な人との関わりの中で誰でも受け入れられ、支えられる経験を通して安心感が生まれ、それが再び(1)の価値を享受できる感覚へとつながっている。このように(1)と(2)は相互に作用し、教会を「ありのままの自分で居ていい場所」と成立させている。

(3)さらに、他者から価値を与えられる経験を重ねることで、教会は「他者と価値を与え合う場所」へと変化していく。そこでは互いに認め合い、支え合う場所へと変化し、互いに認め合い、支え合う関係性が築かれている。

(4)そして教会は、「自分の価値を確立する場所」へとつながる。安心感や人との関わり、礼拝を通した学びなどによって自己肯定感や生き方の軸が育まれ、そこで形成された価値観は、社会の中で他者を支えたいという意識へと発展していく。こうした背景には、信仰や「愛」を大切にするキリスト教の価値観が関わってくるのではないかと考える。

4-4.教会の居場所性

 教会は、「受け入れられる場所」から始まり、「与え合う場所」へ、さらに「生き方の拠点」へと変化していく、”動的な居場所”だと考える。教会は特定の信仰を持つ人に限定された場ではなく、居場所を必要としている人々にとって開かれた選択肢となり得ることが示唆された。

(図1)教会の価値が形成されるプロセス



2003-2026, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status:2026-03-11更新