Space Design Labo, JISSENUniv.
2025年度卒業研究 空間デザイン研究室 宮下佳純
毎朝、公園や公民館などに集まってラジオ体操が全国的に行われており、相模原市だけでも 83 のラジオ体操会団体が登録されている。毎朝、同じ時間、場所に通う人々の間では、名前や仕事など個人的な情報を知らなくてもつながりを感じることがあった。朝 6時 30 分からのラジオ体操が、参加者にとってどのような居場所になっているのか明らかにする。
相模原市南区のラジオ体操会 28 ヶ所のうち、開催頻度が月 1 回未満の会場および開始時刻が 10 時以降の会場を除く、22 ヶ所を対象として以下の調査を行った。
(1)観察調査
相模原市南区におけるラジオ体操の実態を明らかにすることを目的とし、各ラジオ体操会の特性や交流の様子を体操前後も含めて観察?記録を行った。
(2)ヒアリング調査
参加者 23 名にヒアリング調査を実施した。内容は、参加頻度?年数や他の参加者との交流に関するエピソード、ラジオ体操での交流の捉え方などである。
各ラジオ体操会ごとに規模や時間、頻度に違いが見られた。参加規模では最大で約 350 人が参加する大規模な会場が確認される一方、最小では 7 人の小規模な会場も存在しており、参加人数に大きな幅があることが分かった。時間帯では、ラジオ体操が放送される 6 時台が最も多いが、録音を使って 7 時や 8 時開催なども観察された。頻度では毎日開催が最も多く、期間限定や週 3 回以下の開催など各ラジオ体操会ごとに特徴が見られた。
23 名のヒアリング結果を元に、ラジオ体操で生まれる関係性のきっかけや広がり?深まりと交流がもたらす役割を(図 1)にまとめた。
ヒアリング調査では、ラジオ体操に加えてストレッチや軽い運動、花壇の手入れなどが取り入れられている会場もある。こうした時間の共有を繰り返す中で、参加者同士が顔見知りとなり、挨拶や世間話といった緩やかなコミュニケーションが生まれている。
交流は段階的に広がっており、体操後の立ち話や情報交換を経て、お土産の交換や散歩、食事に出かけるなど、より親密な関係へと発展する事例も確認された。また、会場周辺の小学生やマンション住民との会話など、ラジオ体操の場を越えた交流も見られ、地域コミュニティへの広がりを持っている。
これらの交流は、参加者自身が関わり方を選択できる点に特徴があり、挨拶を交わす程度の関係から活動外での交流がある関係性など、各自の距離感に応じた参加が可能である。このゆるさが、参加を継続できる要因となっていると考えられる。さらに、毎朝顔を合わせるという行為そのものが、常連参加者にとっては、「健康の証」となり、地域の安心感という社会的効用が参加者同士で見守りとしての機能を果たしている。
このように、ラジオ体操は運動による健康効果に加え、日常に張りや楽しみを生み出し、参加を継続するモチベーションを支える場として機能している。
ラジオ体操は、参加の強制力が低い「ゆるさ」を特徴とする活動であり、多様な参加のきっかけを受け入れている。挨拶や会話といった緩やかな関係から親密な交流まで、関係性の広がりは参加者ごとに異なり、活動も体操に限らず多様に展開されている。これらの交流は、個人に安心感や生活の張りをもたらすと同時に地域とのつながりを生み出し、継続的な参加の動機となっている。以上より、ラジオ体操は個人と社会をつなぐ朝の居場所として機能していると言える。
(図 1) 関係性の広がり?深まりと交流の役割
2003-2026, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status:2026-03-11更新