Space Design Labo, JISSENUniv.
2025年度卒業研究 空間デザイン研究室 田中萌
道の駅とは、休憩機能、情報発信機能、地域連携機能という三機能を基本とするが、具体的な施設構成については地域に委ねられており、多様な実態が許容されている。制度的定義以上の「居場所」としての役割があるのではないかという可能性を探るべく制度と施設構成の関係からその成立構造を明らかにする。
はじめに、国土交通省公式サイトより道の駅の定義や制度などについて調査し、道の駅の概要を理解した上で、北関東(一部東海含む)の道の駅20箇所を訪問しそれぞれのイベントや日常の様子を観察した。その中でも特に多くの動きが見られた道の駅しょうなんを対象に、施設内外の利用状況を歩行しながら確認した。特に芝生広場および大屋根広場における人の分布、滞在の様子、行為の内容に着目し、特定の利用目的を伴う行動と、目的が明確でない滞在行動を区別して整理した。また、屋内施設と屋外広場の行き来の様子にも着目し、施設構成と利用行動との関係を把握した。
20ヵ所の道の駅を訪問調査し、国土交通省による道の駅の制度的定義を踏まえ、各施設を休憩機能?情報発信機能?地域連携機能に分類し、開設年代順に整理した。その結果、駐車場やトイレ等の基本的機能は年代を通じて共通している一方、近年(2000年代後半)の道の駅ほどカフェ、滞在型飲食空間などが顕著に増え、実際の施設構成は時代とともに大きく変化していることがわかった。
同時に、2010年以降、特に2020年代に新設、増設された道の駅では、芝生広場やイベント広場など、特定の目的を伴わない滞在を可能とする場所が組み込まれている。実際の多くの広場では、犬の散歩やピクニック、寝転がるといった行動が多く観察された。広場は制度上明示されたものではないが、人々の行動を変化させる重要な要素となっている。
調査の結果、道の駅しょうなんでは芝生広場および大屋根広場を中心に、明確な目的を伴わない滞在が多く確認された。これらの空間は屋外に位置しながらも屋根や周辺施設によって環境が担保された半屋外空間であり、用途が固定されていない点に特徴がある。実際に、散歩や会話、子どもの遊びなど多様な行為が同時に行われており、「用途を固定しない半屋外空間」として機能していることがうかがえる。
また、買い物や食事後も広場に滞在し続ける利用者や、特定の施設を利用せずに過ごす来訪者が見られ、これらの広場が滞留を許容する余白として機能していることが確認された。さらに、屋内施設と広場との間には動線的?視覚的な連続性が確保されており、屋内外を行き来しながら滞在する行動が観察されたことから、回遊性のある余白が成立していると考えられる。
以上より、道の駅しょうなんでは、①用途を固定しない半屋外空間、②滞留を許容する余白、③回遊性のある余白という三要素が重なり合うことで、居場所としての性格が具体的な空間と利用実態の中で成立していると整理できる。 (図2)
道の駅における制度上の基本機能は大きく変化していない一方で、近年に向かうにつれて滞在型飲食機能が充実し、さらに新設?増設段階において芝生広場や大屋根広場といった屋外滞在空間が増加していることが確認された。道の駅しょうなんでは、広場において行為の非規定性、緩やかな共在が確認され、制度が想定する機能の集合では説明できない利用実態が明らかとなった。こうした利用実態は機能提供の場にとどまらず、広場やフリースペースといった用途を限定しない半屋外空間や滞留を許容する余白が道の駅における居場所性を生み出している。
(図1)道の駅しょうなん概要
道の駅しょうなんは、千葉県柏市に位置する都市近郊型の道の駅であり、手賀沼に隣接した立地環境を有している。2000年に開設された後、2021年に大規模な増設?再整備が行われ、現在では複数の屋外広場と飲食?直売?体験機能を備える施設構成となっている。
(図2)居場所の三要素
2003-2026, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status:2026-03-11更新