介護の必要な高齢者がお世話されている老人ホーム。
最近の老人ホームは、「ユニット型」といって、10人程度のグループごとに家のリビングのような環境で過ごすことで、高齢の入居者が落ち着いて生活できるように考えられています。この研究は、2012年にオープンしたばかりの、そんな新しい老人ホームが舞台です。
でも写真をみると、広々とした空間にダイニングテーブルくらいしかなくて、ちょっと殺風景に見えます。実際に調べてみると、やはりリビングではとくにすることがなく、食事が終わると自分の部屋に帰ってしまう人が多いという結果でした。環境をもう少し落ち着ける場所にしたら、入居者の生活も少し変わってくるのではないでしょうか。
そこで、施設長さんやスタッフの人たちと何度も打ち合わせを重ねながら、リビングを改装するアイデアをいろいろと提案していきました。スタッフの人から意見をうかがいながら何度か変更を繰り返し、改装案を決定して実践することになりました。
(1)テーブル以外に落ち着ける居場所をつくるため、パーティション家具で軽く仕切った「こたつコーナー」を設ける。

高齢者施設における居場所の可能性(村松愛理、米本祐子)より