詳細チラシ
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一般に「美人画」と言ったときには、若い女性を描いた絵のことを思い浮かべるのではないでしょうか。そうした「美人画」が一般化するのは20世紀に入ってからでした。江戸時代には中国の教養ある「文人」を理想とし、それを女性にもあてはめ、書物を読み書画を楽しむ女性の姿を中国風の「唐美人」や日本の女性として描き、鑑賞しました。
近代になると西洋文化の影響のもとに、容貌や若さが「美人」の条件とみなされるようになります。男女の性別役割分担によって、女性は受動的な存在とされ、絵画でも頼りなげな女性や愛らしい女児の姿が好まれるようになりました。ただし逆に、こうした主題が女性にふさわしいとされたことから、池田蕉園や栗原玉葉ら女性画家たちが積極的に描き、活躍の場を得ました。
美しい人は女性ばかりではありません。古くは《菊慈童》といった少年を鑑賞する主題がありました。また西洋美術の基本は人体の正確な表現でしたが、西洋でも当初は女性が成人男性を描くことは一般的ではないなか、洋画家の岡村政子は少年たちの身体を群像として表わしました。高畠華宵は健康な身体に少女のような大きな瞳や長いまつげを持つ少年たちを描いて人気を博しました。
美しい人の基準も、それを表現する方法も様々で、そのジェンダーも一つではありません。本展では、美人を“麗しい人”と読み替えて、その歴史と多様性について考える機会とします。
会 期 :2025年6月23日(月)~8月2日(土)
開館時間:10:30~17:00
休 館 日 :日曜日
入 館 料 :無料
会 場 :実践女子大学香雪記念資料館 企画展示室1?2
主 催 :実践女子大学香雪記念資料館