給食実習を前年と変わらぬ対面で行いました!ウィズコロナ時代見据えて、「テイクアウト」も実施
最新老虎机-老虎机游戏@の感染拡大(コロナ禍)に伴い、家政系大学?短期大学の多くが調理実習の扱いに苦慮するなか、本学は給食実習を前年度と変わらぬ対面調理で行いました。「平常時でも非常時でも対象者に質の高い食事を提供するという、栄養士?管理栄養士の役割は変わらない」(食生活科学科)という判断からです。他大学?短期大学では対面方式を見送ったり、簡素化やオンライン化したりする動きも相次ぎましたが、本学は普段通りに対面による大量調理を実施。加えて、Withコロナ時代を見据えて、テイクアウト形式での提供も試みました。
本学健康栄養専攻の給食実習の授業は「給食実務学内実習」で、学生たちは栄養士として集団給食を提供するため必要な知識や技術を学んでいます。生活科学部食生活科学科の加藤チイ准教授が指導教授となり、3年生を対象に今年度は緊急事態宣言後の授業再開を待って、7月14日と同21日、同28日、8月4日の4回に分けて行いました。前期カリキュラムとして、学生44人が各1回あたり延べ4時間30分の実習を履修しています。
■給食実習でテイクアウトも
実習では4回いずれも、テイクアウト食60食と食堂用40食の合計100食が調理されました。コロナ禍感染防止の3密(密接、密集、密閉)回避策として、新たにテイクアウトを採用しました。各回の献立は以下の通りです。
▼7月14日 チキンカレー(五穀米)、コールスロー、フルーツヨーグルト
▼同 21日 ご飯、天ぷら(あじ えび なす 南瓜)、酢の物、味噌汁、ミルクゼリー
▼同 28日 夏野菜のレモンスパゲティ、カラフルサラダ、フルーツティラミス、アイスティー
▼8月 4日 冷やし中華、餃子、牛乳寒天
では、コロナ禍のなかった前年度実習と比べ、どこか変更点があったのでしょうか-。実は、栄養量の基準や衛生管理(厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアル)、予算管理などの給食実習の基本的内容に変更はありません。衛生管理に関する不安についても、日野キャンパス2階の給食実習室は、着替えから調理室、食堂(試食室)まで、すべて動線は衛生管理を考慮して設計されているほか、学生の体調管理に万全を期すのは基本事項であり、特に変更はありませんでした。学生が作成した予定献立も、変更なしで大量調理の基準となる100食分が調理されています。
つまり、シラバスを変更することなく実習しており、例年と異なる状況を強いて挙げれば「(感染防止のために)食堂利用者に対するお声掛けが少なくなった」ということぐらいです。
■「コロナ対応は今しかできない教育」
ですが、あえて給食実習で対面方式を変えないということで、感染予防にはプラスアルファの配慮が加わりました。具体的には、給食利用者を分散するためテイクアウトを導入したほか、テーブルはソーシャルディスタンス(対面なし、1席間隔)を確保、また食堂利用者とテイクアウト客の動線も十分な距離を隔てて設定されました。
翻って、コロナ禍における大学?短期大学の調理実習を巡っては、厚生労働省や文部科学省の方針で「教育の縮減がない限り」において、実情を踏まえて補講やインターネットの活用、レポート提出での代替が認められました。これにより、多くの大学?短期大学で、感染症対策として食数を減らして実施したり、教員が集団給食室でデモンストレーションを行い、その模様をライブ配信したりするなどして、対面による感染を回避する試みが行われています。
しかし、一面、それでは学生が非常時の対応を学ぶ機会を失っていると言えないでしょうか。学生たちは将来、栄養士?管理栄養士として社会に出て働きますが、いつも平穏な日々の中で食事を提供できるとは限りません。2011年3月の東日本大震災の際、福島県南相馬市の被災地の病院では管理栄養士さんが、電気もガスもストップ、食料備蓄も尽きながら、知恵を絞り工夫を凝らして患者や病院職員に食事を提供し続けました。最近では7月の熊本県の球磨川水害の折、コロナ禍を避ける苦労を重ねながら、避難所や被災施設で栄養士さんたちが被災者に食事を提供しています。
コロナ禍であろうとなかろうと、食事提供を疎かにすることはできないのです。本学は感染を恐れて給食実習を変更するという選択肢ではなくて、コロナ禍対応をあえて「今しかできない教育」(食生活科学科)と捉え、シラバス通りに給食実習を対面方式で行いました。
■教育プロジェクト始動、献立の一部に有機野菜
栄養士の資格は、2年制の短期大学や専門学校でも取得可能です。そこで、健康栄養専攻では「4年制の養成校として充実した教育を学生に授けたい」と、取り組んできました。一例を挙げれば、給食実習メニューです。松茸ごはん、鮎の田楽、きりたんぽ鍋、ローストポーク…等々。他にもたくさんあり、普通の給食実習では提供しないようなメニューも工夫しています。
加えて、給食実習の取り組みは今年度、学内の2020年度教育プロジェクトに採択されたことで、さらに充実しています。前期4回の給食実習の献立で使用した野菜には毎回、「栃木県開拓農協(みんなの未来)」から直送された有機栽培?無農薬野菜が1品~3品含まれていたことをご存じでしょうか?安全な食材を選択する意識の高さのほか、質の良い食品の調理性や味?香りなどの特性への気付きを学生に促す狙いが込められていました。
こうした有機農業に取り組む農家に対する応援は、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の達成と無縁ではありません。SDGsの全17目標のうち、有機栽培への支援は「飢餓をゼロに」(目標2)、「すべての人に健康と福祉を」(目標3)など6つの目標の達成に寄与すると考えられるからです。本学の給食実習がSDGsの達成にも貢献している。長い伝統に支えられた給食実習の歴史に、ちょっぴり誇らしい1ページが加わりました。
7月14日の献立は、チキンカレーです
7月21日は、おかずに天ぷらが用意されました
7月21日 学生がテイクアウト用に盛り付けていきます
7月28日 4人が協力して盛り付けています
7月28日の献立は、夏野菜のレモンスパゲティです
8月4日 冷やし中華と餃子のテイクアウト食です