生活科学部現代生活学科の地域?生活文化ゼミ(須賀ゼミ)が、農林水産省「つなぐ棚田遺産」感謝状の贈呈を受けました(1/26)
1月26日(金)、生活科学部現代生活学科の地域?生活文化ゼミ(須賀ゼミ)の学生が、東京都内で行われた農林水産省主催の「つなぐ棚田遺産」感謝状贈呈式に出席。棚田地域における多様な主体との連携や協力を促進し、棚田地域の振興に貢献したとして感謝状の贈呈を受けました。
「つなぐ棚田遺産」感謝状とは

棚田地域の活性化や、棚田の有する多面的な機能に対する理解促進を図ることを目的として、2023年3月、農林水産大臣が全国の271の棚田を「つなぐ棚田遺産」に認定。そして、棚田地域における多様な主体との連携や協力を促進することを目的として、棚田地域の振興等に貢献した企業?大学等を表彰するのが「つなぐ棚田遺産」感謝状の取り組みです。
1月26日(金)、東京都内で行われた感謝状贈呈式には、須賀由紀子教授とゼミ生らが出席。「未来へつなぐ」部門、「人と人とをつなぐ」部門、「クリエイティブ」部門の3つの部門のうち、本学は「未来へつなぐ」部門で「つなぐ棚田遺産」感謝状の贈呈を受けました。
感謝状の評価ポイントは「布川ファーマーズマーケット」の取り組み

布川地区の方と交流を開始
生活科学部現代生活学科の須賀由紀子教授の下、地域自立型社会の課題に取り組んでいる地域?生活文化ゼミ。2015年、新潟県?越後妻有の広大な里山を舞台に開催される「大地の芸術祭」に参加したのをきっかけに、過疎高齢化?人口減少が著しい中山間地域の一つである布川(新潟県十日町市松之山布川地区)との交流を開始しました。布川は、農林水産大臣名により「つなぐ棚田遺産」として認定された271の地区のうちの一つです。
その後も地域?生活文化ゼミは、「まちの居場所づくりプロジェクト」と題して、都市農村の本質的な支え合いの関係を作ることで過疎地域の活性化を図り、都会にはない豊かさを得るべく布川での活動を拡大。棚田での田植えや稲刈りの体験に始まり、夏祭りや道普請(道路や水路の草刈りなどを行う活動)に参加するなど、8年前から交流を続けてきました。
布川での活動の様子(2023年度)
布川の魅力はその自然の豊かさと、いつも「おかえりなさい」と言って迎えてくれる布川の人のあたたかさ。そんな素敵な布川を日野の方にも知ってもらいたいと、学生たちが日野市の地域活動拠点としている日野市立カワセミハウスで、布川の季節ごとの農産物を販売する「布川ファーマーズマーケット」の開催を考案しました。今では、年4回のペースで開催し、布川の自然や人々の暮らし、風土と日野市民をつなぐ、新たな都市農村交流の仕組みを作り上げました。今回の「つなぐ棚田遺産」感謝状は、この「布川ファーマーズマーケット」の取り組みに対し贈られたものとなります。
学生が制作した布川ファーマーズマーケットのチラシ(2023年度)
感謝状の背景にある日野市立カワセミハウスの存在

カワセミハウスで開催
誰もがいつでも心地よく過ごせる場所づくりを目指し、日野市の環境情報センターと吹上地区センターの機能を備える複合施設として2017年に開設されたのが日野市立カワセミハウスです。以前から日野市地域協働課と連携してコミュニティ形成活動に協力してきた地域?生活文化ゼミは、開設準備段階からその運営に関する提案に参加。開設後も積極的に施設の活用推進に関わり、日野発祥のクラフトビール「豊田ビール」を楽しみながら地域をつなげるお祭り「オクトーバーフェスト」を企画しました。最新老虎机-老虎机游戏@感染症が拡大した2020年を除き、2017年から毎年実施しており、その中の一つのコーナーとして生まれたのが「布川ファーマーズマーケット」です。その後、コロナ禍で現地への行き来が難しくなった時期ですら、「人」ではなく「モノ」の交流なら可能なはずと、休むことなく、歴代のゼミ生たちが毎回工夫を重ね、その取り組みを続けてきました。
このように、「オクトーバーフェスト」および「布川ファーマーズマーケット」を通して築かれた布川と地域?生活文化ゼミの絆は、カワセミハウスを拠点にさらに強まり、布川の郷土料理をカワセミハウス内で調理し味わうイベントなどにも発展。布川と日野に暮らす人々をつなげるだけでなく、そこに集う日野市民の皆さん同士のつながりを深める役割も果たしています。
布川の新鮮な野菜が並ぶ布川ファーマーズマーケット

「夏の思い出プログラム」で小林館長と
昨年はその取り組みがさらに加速し、日野市の皆さんを布川にお呼びし、現地の方々と触れ合い、農村の生活体験をしていただく「夏の思い出プログラム」を学生の手でプロデュースして実施。集落をくまなく自分たちの足で歩いて関係を培い、プログラムの企画から運営まですべてをゼミ生たちが担い、参加した日野市民の皆さんから「他では絶対得られない特別な夏の思い出を作ることができた」と好評をいただくに至りました。この「夏の思い出プログラム」には、カワセミハウスの小林正明館長にもご参加いただいています。
今後も地域?生活文化ゼミは、都市と農村のつながりを強化し、布川の棚田地域の振興に貢献する取り組みを、カワセミハウスを拠点に継続していきます。そして、布川(農村)を日野(都市)の人が気軽に通える「居場所」にし、地域と地域がともに支え合う関係づくりを目指し、日本の大切な「ふるさと」を未来につないでいきたいと考えています。
地域?生活文化ゼミ生のコメント

私たちのこれまでの活動が認められ、「つなぐ棚田遺産」感謝状というかたちで布川の皆さまにご報告できることをうれしく思っています。昨年は「夏の思い出プログラム」も実施し、都市農村交流の一つの在り方を自分たちの手で示すなど、さらに一歩前進しました。布川の関係人口を少しでも増やすことができ、この取り組みを続けてきて本当に良かったと感じています。(生活科学部現代生活学科4年 岩間 績)

ゼミの先輩方から引き継いだ活動が表彰されたことを誇りに思います。また、卒業前の活動の締めくくりとして、「棚田地域振興法」の理念を盛り込んだオリジナルかるたづくりにも挑戦しました。棚田地域の魅力を詰め込んだこのかるたを、「布川ファーマーズマーケット」をはじめとするカワセミハウスでのイベントで活用してもらえたらうれしいです。(生活科学部現代生活学科4年 星野 真央)

千葉県で生まれ育った私にとって、布川は「ふるさと」になりました。棚田地域の美しさや、そこに住む方々の昔ながらの暮らしを、少しでも広めるお手伝いができたのなら幸いです。活動を通して得られた知見を生かして社会人として活躍すると同時に、卒業後もこのご縁を大切にし、「ふるさと」である布川とつながり続けていきたいと考えています。(生活科学部現代生活学科4年 小澤 早紀)
日野市立カワセミハウス 小林正明館長のコメント

「つなぐ棚田遺産」感謝状の受賞、おめでとうございます。「布川ファーマーズマーケット」や「オクトーバーフェスト」といった活動で、カワセミハウスの活性化にも尽力いただいている皆さんの取り組みが、このようなかたちで評価されたことを大変うれしく思っております。
カワセミハウスは地区センターだけでなく、環境情報センターの機能も備えた施設です。当然ながら地域の環境を考える市民団体の皆さんも数多く集まる中、昨年は皆さんの企画で、布川の郷土料理を調理するイベントが開催されました。その際に出た野菜くずのおかげで、生ゴミを堆肥化するダンボールコンポストの周知も進みました。このように、実践女子大学の皆さんの取り組みは、布川だけでなく日野の地域にも相乗効果を生んでいます。
「地域の人々が持つ夢や力をつなぎ合わせる」というのがカワセミハウスの一つのコンセプト。これを実現させてくださっていることに感謝すると同時に、当館としても引き続き棚田地域の魅力を発信するお手伝いをしていきたいと考えています。実践女子大学の皆さんには、今後も新しいアイデアでカワセミハウスに変化を起こしてくれることを期待しています。
須賀由紀子教授のコメント

「布川ファーマーズマーケット」や「オクトーバーフェスト」「夏の思い出プログラム」など、さまざまなイベントを自分たちの手で作り上げてきた学生たち。本当に、その企画力?実践力は素晴らしいと感じています。とりわけ今年の布川での活動はチャレンジングなことが多かったですが、布川の良さを少しでも多くの人に知ってほしいという強い思いが学生たちを支えていたように思います。次から次に生まれる課題に対して、自分たちだけですべて解決しようとするのではなく、うまく周りの人を頼りながらプロジェクトを成し遂げ、その達成感、また、複数のことを同時並行で進めるマルチタスクや、優先順位をつけて判断する力がついたことなど、自らの成長を学生は言葉にしています。布川での活動を通して、人としての様々な学びを得られるのも布川の人と自然の豊かさ、土地の包容力があるからこそと思います。
そして今回、これまでの布川との関わりが「つなぐ棚田遺産」感謝状というかたちで実ったことを、大変嬉しく思います。棚田地区の環境保全活動に取り組むにとどまらず、カワセミハウスを拠点に都市と農村をつなぐ新しい仕組みを生み出したことが、「未来へつなぐ」部門で評価された一つの要因と聞いています。この活動をさらに展開することへの使命を感じています。
学生たちの活動をいつも楽しみにしてくださり、信頼してさまざまなチャレンジをさせてくださる布川の皆さま、学生たちの居場所として、また活動の拠点としていつもご協力いただいているカワセミハウスと館長をはじめとする職員の皆さまには、心より感謝申し上げます。