2024年度「スタートアップデータソン」最終選考会?表彰式を開催(3/10)
2024年度の「スタートアップデータソン」の最終選考会が、3月10日(月)午後、渋谷、日野の両キャンパスでプレゼンテーション形式で開かれ、一次審査を勝ち抜いた6チーム16人が挑みました。
本学の「女性が社会を変える、世界を変える」という理念に基づき、現代社会における様ざまな課題を解決する能力の育成を目指す取り組みのひとつとして、2022年度から部分的に始まった「スタートアップデータソン」は、今回より全学対象のイベントとして正式にスタートを切りました。
栄えある最優秀賞には、生活文化学科3年生のチームによる「Instagramのストーリーズ広告における『通常広告』と『ユーザー発信風広告』がユーザーに与える影響の違いの検討」が選ばれました。
全学対象のイベント「スタートアップデータソン」
本学の「スタートアップデータソン」について

最優秀賞チームリーダーの若月さんも、「このイベントに参加するまで、データソンという言葉を知らなかった」と話すように、まだまだ一般的には馴染みのない「データソン(Datathon)」という言葉。これは「データ分析ハッカソン」の略語で、「ハッカソン」とは「ハック(Hack)」と「マラソン(Marathon)」を組み合わせた言葉です。「ハック」はコンピューターシステムに不正侵入する「ハッキング」の「ハック」と同じですが、実は「効率的な工夫や解決策」という意味もあり、参加者がチームを組み、特定のテーマに対して短期間に集中してアイディアを出したり、開発を行ったりして、その成果を競うコンペティションを「ハッカソン」と呼んでいます。つまり「データソン」とは、データ分析を用いて導き出された課題解決のための提案型コンペティションです。
本学の「スタートアップデータソン」は、女性が活躍する社会を目指し、実社会での課題や問題点を見つけてテーマとし(テーマは自由)、そのテーマに沿って、官公庁などで公開されているオープンデータや自分たちで調査?収集したオリジナルデータを、授業で学んだ知識やスキルを活かして分析し、その分析から解決策を導き出しスライド資料にまとめて提出。資料が一次審査を通過したチーム(1人でも可)は、最終審査として10分以内のプレゼンテーションを行う、という内容です。
それぞれの体験や日頃の意識に基づいたテーマで、独創的な課題解決案を披露

どのチームも甲乙つけがたく選考は難航しましたが、各賞の受賞者は以下の通りとなりました。最優秀賞は3年生でしたが、2年生の健闘も称えられました。
【最優秀賞】
「Instagramのストーリーズ広告における『通常広告』と『ユーザー発信風広告』がユーザーに与える影響の違いの検討」
若月 愛さん/角南 希果さん/村田 彩さん/藤原 青葉さん/野田 結花さん(生活文化学科3年生)
【優秀賞】
「昇進意欲と競争心について」
森岡 千晴さん/阿久澤 由衣さん/今井 綺星さん/浅野 唯さん/須田 希さん(生活文化学科3年生)
「若者に流行するMBTI診断との向き合い方を考える」
渡邊 絵梨奈さん/芦澤 音羽さん/大湯 こころさん(人間社会学科3年生)
【奨励賞】
「防災分野における女性の必要性について」
長田 彩希さん(現代生活学科3年生)
「おふくろの味、魅せたんで」
今井 希美さん(現代生活学科2年生)
【選考委員賞】
「AIによる衣服提案」
佐藤 葉乃香さん(現代生活学科2年生)
最優秀賞のチームは、既存のオープンデータのみならず、自ら調査サンプル(比較する「通常広告」と「ユーザー発信風広告」の動画)を作成し、調査協力者を集めて積極的にデータを集めました。また、その手法に日頃授業で学んだことを活かしたことが評価につながりました。
優秀賞の2チームも、既存の先?研究や企業が公開する調査データだけでなく、自分たちで調査を実施し、データを集めていました。データの使い?や分析方法にはまだまだ改善点があるものの、そのチャレンジ意欲は高く評価されました。
奨励賞の長田さんは、インターンシップに行った防災関連の現場で「女性の視点が必要なのに女性が少ない」と気づいたことが今回のテーマとなりました。同じく奨励賞の今井さんは、独特のタイトルと同様、故郷である山形の郷土料理の恋しさから、伝統文化の維持と高齢化社会の課題を合わせて解決する斬新なアイディアを披露しました。
選考委員賞の佐藤さんは、女子大生最大の関心事のひとつとも言える「ファッション」の切り口で、現在急成長するAIの活用についてまとめました。
IT企業および関連団体様とともに「文理融合型能力」の育成を推進

女性が活躍する社会を目指し、様ざまな社会課題に取り組んできた学祖下田 歌子の精神を受け継ぎ、本学では、社会課題を主体的にとらえ、新しい発想や行動によって社会の改善に貢献できる人材を輩出するため、様ざまなプロジェクトを推進しています。ますます社会課題が深刻になる現代において、課題発見?解決能力、文理融合的な論理的思考力や判断力が必要とされることを受け、IT企業および関連団体様のご協力を得て、現在いくつかの能力育成プロジェクトが進行しております。この「スタートアップデータソン」は、公益財団法人トランスコスモス財団と進めているプロジェクトのひとつです。
今回の選考には、事務局を担う大学教育研究センターのセンター長である粟津 俊二教授(人間社会学科)を委員長として、副センター長の島崎あかね教授(生活文化学科)、同センターの齋藤 洋特任教授、人間社会学部長の竹内 光悦教授と、データサイエンス関連の専門家が選考委員として参加しました。学生のプレゼンテーション後の質疑応答では、専門家視点の鋭い指摘や質問がなされ、学生たちの新しい気づきや知識につながり、「普段接点のない専門の先生方に講評いただく経験ができて良かった」という声も参加学生から聞かれました。
評価基準は、文部科学省の数理?データサイエンス?AI教育プログラム認定制度リテラシーレベルの目標とモデルカリキュラムを踏まえたものですが、本学のデータソンは、数理的なデータ分析のみを評価するのではなく、社会的問題解決意識を重視するのが特徴といえます。
こうした取り組みによって育成される文理融合型の能力は、卒業後キャリアを形成していく上でも必要となるため、今後も引き続き効果的なプロジェクトを推進していく予定です。
「データ分析」や「プレゼンテーション」に慣れる機会としての「スタートアップデータソン」

「データ分析」と聞くと、「難しそう」「ハードルが高い」と苦手意識を持つ学生はまだまだ多いのが実情です。実は、今回最終選考に残った16人の学生たちも「データ分析」を得意とするメンバーが揃っているわけではなく、最優秀賞チームが参加を決めたのも、ゼミの担当教授に背中を押されてのことだったと言います。
また、社会に出ると人前で発表する機会が増えますが、このイベントは普段接点のない人たちの前で行うプレゼンテーションの訓練にもなります。
イベントの開催には、「発表に不慣れな人こそぜひ参加して、レベルアップの機会としてほしい」という事務局の意図があります。最優秀賞チームのリーダー若月さんも「また来年も挑戦してみたい」と意欲をみせていました。
最後に、「今年からスタートしたスタートアップデータソンですが、来年以降もこの形で続けていければと思っています。今年参加してくださった方々も、ブラッシュアップしてまた来年参加してくれるといいなと思います。また、お友達などにもデータで考えることを広めていただき、いろいろチャレンジしていっていただきたいと思います」という粟津教授による挨拶をもって、イベントは無事終了しました。
最優秀賞チームのコメント

今回は応募を決めてから提出まで非常に短い期間だったので、プレゼン資料の作成、発表準備が大変でした。特に春休み中で、メンバーと対面で作業ができなかったので(manabaを使用してのオンライン作業に終始)、タスク整理をしたり分担を決めたりやることが多く、分析に関する意見の出し合いなどが充分に行えず、自分の分析、解釈で合っているのかなど悩みました。
それでもチームで1つのテーマに沿って資料を作り上げ発表するという、1人で行う卒論ではできない貴重な経験ができたことは有意義だったと思います。そういう意味で100点満点だったと思います。