18年ぶりに渋谷で「下田歌子賞」の表彰式を開催しました(1/27)
本学園や岐阜県恵那市などが主催する「第21回下田歌子賞」の表彰式が1月27日(土)、実践女子学園中学校高等学校(東京都渋谷区)の桃夭館で行われました。同賞21年の歴史のなかで、学園揺籃の地である渋谷区で表彰式が行われるのは18年ぶりです。表彰式には学園創立者?下田歌子先生ゆかりの岐阜県恵那市からも小坂喬峰市長が出席、「恵那市として下田歌子先生の女子教育に取り組まれた情熱を(下田先生の名を冠した)同賞を通じて後世に伝えていきたい」などと語りました。
第21回下田歌子賞
本学園中2年の桶谷さんら6人に最優秀賞
今年のテーマは『夢』。同賞は「エッセイ」と「短歌」の2部門で構成されており、2部門とも「小学生」、「中高生」、「一般」の年齢区分別に作品を公募。それぞれ優秀賞、佳作、入選の作品が選出されました。
このうち、エッセイは岐阜県恵那市立長島小学校6年の牧野友祐君の「ぼくの夢」、本学園中学校2年の桶谷知礼さんの「夢」、大阪府寝屋川市の本田美徳さんの「夢見た夢」が最優秀賞を受賞しました。
また短歌は、小学生部門は岐阜県恵那市立岩邑小1年の小栗充貴君、中高生部門は私立白梅学園高3年の大友結衣さん、一般は小田中準一(千葉県市川市)の詠んだ句に高評価が集まり、それぞれ年齢区分別の最優秀賞が贈られました。
どの作品も「熱い思いが溢れている」-山本理事長

表彰式は午後1時からスタート。最初に恵那市の小坂市長が登壇し、「岩村町(現在は恵那市)が生んだ下田先生が女子教育に強い情熱をもって、この地で励んだ。女子教育の夢を託したこの地で皆さんの夢を描いたエッセイや短歌を表彰できるのが嬉しい」と挨拶、18年ぶりに渋谷区で表彰式を開く意義を強調しました。
続いて挨拶した実践女子学園の山本章正理事長や実践女子大学?短期大学部の難波雅紀学長は、作品から受けた感銘について触れています。例えば、山本理事長は「作品はどれも熱い思いが溢れており、とても感動した」と称賛。また難波学長は「言葉の力を信じ、自分の夢を伝えようとする語り手の真摯な姿勢にとても感銘を受けた。今回読ませていただいたエッセイと短歌は、どれも皆個性的で素敵なものばかりだった」と選考委員を務めた立場も踏まえ、振り返りました。
「どれも思いが溢れている」と山本理事長
難波学長も「真摯な姿勢に感銘を受けた」
教師になる夢を朗読-桶谷さん

その後、エッセイと短歌各部門について小学生、中高生、一般の年齢区分の順に表彰状が授与されました。出席した入賞者は、エッセイの小学生部門など6部門ごとに集合して登壇。各部門のプレゼンターから入賞者一人ひとりに表彰状が手渡されるとともに、プレゼンターと一緒の記念撮影も行われました。そして、入賞者代表による最優秀受賞者による朗読、審査員による論評と続きました。
このうち、エッセイの中高生部門で入賞者を代表して朗読役を務めたのは、最優秀賞を受賞した本学園中学校2年の桶谷知礼さんです。
桶谷さんは、自身が目指す教師への「夢」をエッセイの中で生き生きと綴りました。即ち、教師になりたい理由について「誰か人の役に立ちたい」と繰り返し強調。そのためにも「身の回りのことにだけでなく、社会のニュースに関心を持ちたい」「教師になるという夢を実現するために日々の生活を、一日を大切に過ごしていきたい」などと抱負を語り、夢の実現に向けた揺るがぬ決意を言葉にしました。
その上で、そんな決意に至った背景について▼教師という職業に憧れるきっかけをくれた小学生時代に出会った英語の先生▼教師への憧れを目標に高めてくれた本学園中学校の先生ら-などの存在があったと紹介。とりわけテレビ番組プロデューサーを務める自身の父親の存在については、「このエッセイを書くにあたり、初めて職業について父親と話した」と語り、自身の職業と真摯に向き合う父親の言葉に強く感化されたと述べました。
桶谷さんの朗読を受け、選考委員を務めた元宝塚の初風緑さんは、彼女のエッセイについて「とても分かりやすく説明されていて、自分の意見を明確に出されているところが、とても好感が持てた」と高く評価。その上で「夢を追うと決めたら、信念を曲げずに、とにかくやり抜くこと」と力を込め、「それで長い時間かかったとしても、一つひとつを大切に、そして出会いを大切に、一歩一歩、日々を大切に過ごしてもらいたい」と彼女の夢に対してエールを送りました。
表彰式はこの後、休憩を挟んで初風さんら選考委員3人による「トークショー」、さらに文学部国文学科の佐藤悟教授による「源氏物語講話」と続き、午後4時すぎ、盛会のうちに閉会しました。
選考委員3人によるトークショー
佐藤教授による「源氏物語講話」
入賞するのは1%以下の超「狭き門」

下田歌子賞は、先生の生誕150年(2004年)を受け、記念事業として2003年に創設されました。ちなみに、短歌とエッセイの2部門で構成されたのは、歌人としても名高い先生が16歳で大望を抱き、成功を遂げるまで二度と帰らぬ決意で故郷を離れ上京した故事を踏まえたものです。
21回目となる2023年は、エッセイで1741作品、短歌で2835首の応募があり、入賞はエッセイで18作品(応募作品中の1%)、また短歌は15首(同0.6%)という、極めて狭き門になりました。