山本 浩貴 (文学部美学美術史学科准教授)
(欧米と東アジアを中心とする現代美術史。特に社会?政治的な芸術実践について。)
『空気はいかに「価値化」されるべきか
「かけがえのなさ」の哲学 東大リベラルアーツ講義』
編者:東京大学東アジア藝文書院
出版社:東京大学出版会(2025年2月)
共生の根本条件である空気は、もはや無限のリソースとみなすことのできない、かけがえのない財産である。空気を持続可能な方法で保全?共有するための突破口を空気の「価値化」に見出し、言葉と思索の力で人類の責任と希望を追求しようとするリベラルアーツの挑戦。
■著者より
2023年に東京大学で行った講義の記録です。哲学、経済思想、人類学など、さまざまな領域で活動する研究者たちが「空気の『価値化』」というテーマについて多角的に考察しています。ぼくは「現代アートと空気」の交わりについて、具体的な作家や作品を挙げながら論じています。
■目次
まえがき 石井 剛
第Ⅰ部 空気と共に生きる
第1講 花する空気 中島隆博
第2講 ひとと空気の歴史社会学 — 空気にも歴史がある 佐藤健二
第3講 空気?空間?空気感 川添善行
第Ⅱ部 「価値化」が創出する新しい価値観
第4講 現代アートと空気 — 可視化と価値化 山本浩貴
第5講 「空気の価値化」を通じて考える「知の価値」 五神 真
第6講 空調メーカーが試行している空気の価値化 香川謙吉
第Ⅲ部 空気の社会?経済的価値
第7講 「新しい価値」の台頭と空気の価値化 坂田一郎
第8講 グローバル?コモンズを守り育むために 石井菜穂子
第9講 「空気の価値化」という欺瞞と炭素植民地主義 斎藤幸平
終 講 「根源的な中立」の学問 — 来るべき「空気の哲学」のために 石井 剛