カナダ?トレント大学の図書館事情(渡辺 敏准教授)
渡辺先生の現況
生活科学部?生活文化学科の准教授である渡辺敏先生は、2014年から本学で教鞭を執られています。先生の研究分野は初等教育(算数)で、算数の中でも特に立体図形の認知と、その認知を支える方略の指導について研究されています。
渡辺先生は、2023年度1年間、カナダのトレント大学に客員研究員として滞在されています。渡辺先生に、海外の大学図書館についてのレポートを送っていただきました。
Trent University Vata Library(トレント大学 バタ図書館)
Trent University(トレント大学)は、カナダのToronto(トロント)から電車とバスで3時間ほどのPeterborough(ピーターバラ)というカナダの都市の北部にあります。キャンパスの中心を川が流れる自然豊かな環境に位置しています。この大学にあるBata Library(バタ図書館)をご紹介します。毎日、約2,500人が利用します。今回、ご紹介する写真は、学生が写らないように大学がお休みの日に撮影しています。
この図書館は4階建てで、フロアごとに様々な学習環境が用意されています。2階の入り口のショーケースには、その時期の話題のトピックが紹介されています。写真撮影時に展示されていたのは「ゲームの世界」です。関連書籍とともに様々なゲームに関するディスプレーが並んでいました。毎回、カラフルな展示で利用者を楽しませてくれます。入り口を入ると、建物は吹き抜けになっていて、4階まで続く階段を見渡すことができます。
フロアは、個人で利用するスペース、友達と相談しながら学習できるスペース、PCを使えるスペースなど、利用者の用途に応じた様々な環境が用意されています。日本では、図書館内は静かに過ごすことが前提になっていることが多いと思いますが、この図書館では友達と相談しながら、学習する学生が多いように感じます。日本の大学の授業でも友達と共働で学習する機会が増えているので、空き教室を探さなくても、図書館に友達と一緒に学習できる場所が用意されているのはとてもいいと思いました。
トレント大学 バタ図書館外観
館内は吹き抜けで開放感のある造りとなっている
壁面に植物が飾られている場所のそばの席はいつも多くの学生が利用しています。緑のそばだと気持ちがいいのでしょうか。フロア中央にはカウチがおかれているスペースがあり、勉強で疲れた学生や、ゆっくり友達と話をしたい学生たちがリラックスして過ごしています。大きな塗り絵は、だれでも自由に書き込めるようになっています。面白いですね。
木の壁で仕切られているスペースは、クローズドの空間で集中して学習したい学生が利用できるスペースです。4日前までにQRコードを利用して、1回最大3時間の利用が申請できるようになっています。また、グループや授業で利用できるクローズドの空間もかなりの数が用意されています。学生のみなさんは自分の学習の利用形態に合わせて図書館の色々な場所を選べるようになっています。
展示「ゲームの世界」
館内には壁に植物が飾られている場所も
誰でも書き込める塗り絵
日本の図書館との違いについて
日本の図書館と比べた時に、大きな違いだと思うのは、飲食が自由にできる点でしょうか。学生は各自、飲食しながら図書館での時間を過ごしています。1階には喫茶コーナーがあり、そこで購入したものをそのまま図書館に持ち込めるようになっています。長い時間を図書館で過ごしたいと思った時に、飲食が自由であることはとても理にかなっているように感じました。日本で多くの学生さんがスタバで長い時間、学習しているのと似ているのかもしれません。図書館の方に、飲食に関して問題はないかと聞いたところ、特に問題になることはないとのお話でした。トレント大学では、授業と授業の間に休み時間がありません。そのため、授業中に食事をする学生の姿をよく見かけます。このような環境からか、図書館での飲食は特に大きな問題にはなっていないように感じました。
授業中に学生が寝ている姿を一度も見たことがありません。また、話し合いの時間になると、ずっと話をし続けているのもカナダの学生の特徴だとも感じます。図書館内でも熱心に話し合っている学生のグループを多数見かけます。また、個々の学生は熱心にPCに向かっています。このような学生のニーズに合った学習環境を図書館は提供しているように感じました。