国語学基礎演習 山田 里奈先生
国語学基礎演習 山田 里奈先生

国語学(日本語学)というと、高校までの文法の授業を思い浮かべ、苦手意識をもっている人がいるかもしれません。もちろん基礎として、今まで勉強してきた文法の知識は大切です。それを基盤として、新たな気づきへと繋がっていきます。
大学の授業では、資料に出てくる日本語や身近な日本語に目を向けて、なぜそうなったのか、いつから使われ始めたのかなどを考えていきます。「国語学基礎演習」は、2年生以上を対象とした演習の授業です。前期は、狂言台本(大蔵流の虎明本)を対象にし、発表するという内容で行なっています。狂言は近世初期に書写されたものですが、室町時代の話し言葉を反映する貴重な資料の一つです。後期は、明治開化期の話し言葉がわかる『安愚楽鍋』を対象にし、発表するという内容です。どちらも話し言葉がわかる資料のため、自分の使う言葉と比較しながら捉えることができます。
発表内容は、語句調べと論文紹介、それに対する自身の意見を述べるというものです。後期には、論文をもとにして簡単な調査も行なってもらっています。語句調べでは、二つ以上の辞書?事典を調べます。論文紹介では、担当範囲で気になった語句や文法事項について、関連する論文を探し、紹介します。そして、紹介した論文に対する自身の意見を述べます。二つ以上の辞書?事典を調べて比較し、それぞれに性格があることを知ることで、自分自身で必要な情報を判断し、得る力を育てることができます。論文内容の紹介では、相手にどのように説明したら伝わるのか、どの表や用例を引用したらいいのか考えるため、プレゼンテーション力を育てることができます。また、人の意見に対して、理由やポイントを絞って意見を述べることができる力も育てていくことができると考えています。
3年生の「国語学演習」や4年生の卒業論文執筆へ向けた力と卒業後に社会で活かせる力を、授業を通して身につけていってもらえたらと思います。